いよいよ梅雨の季節になって、そうなるとかたつむりが頭に浮かびます。
雨の中、紫陽花の葉にかたつむりがのろのろと歩んでいる。絵になります。
それがもしナメクジだったら、どうですか?
キャー、だ、だれか塩持ってきて! なんてことになるに決まっています。
ナメクジに貝殻を被せただけで、ともしかしたら思っていませんか、かたつむりのこと。
つまり、かたつむりはヤドカリのようにカラを取り換えることはないのです。
あのカラの中には心臓とか肺とかとっても大切なものがはいっているのです。
この絵本は「科学絵本」というジャンルに分類されているだけあって、そういうことも丁寧に書かれています。
それでいて、絵はとてもかわいいのですが。
この絵本はナメクジの話です。
実はナメクジというのはかたつむりの進化したものだというのです。
つまり、あの大きなカラを捨ててしまえばもっと自由になるに違いない、そう考えたかたつむりの一群がいたのです。
もっと自由を! というわけで、そこから何世代も進化し続けて、カラをもたないかたつむり、ナメクジになったというわけです。
なんだかすごいでしょ、ナメクジ。
まるで「青年は荒野をめざす」みたいに、かっこいい。
進化した果てにここまで嫌われるとは思っていなかったかもしれませんが、これからもさらなる進化をめざして、のろのろと歩きつづけていくのですね。
この絵本はそんなナメクジくんへのエール本なのです。