原田泰治さんの描く日本のふるさとの情景が浮かんでくるような作品。石井桃子さんの文章も耳に心地よく、とても穏やかな気持ちになれます。お話自体は短く、決して派手さはないけれど、「やかまし村の春・夏・秋・冬」の日本版とでも言えるような絵本です。
大人も子どもも季節を五感で感じながら生きていた時代。春には春の、秋には秋の楽しみがあり、そのすべてが四季の自然や行事と結びついていたんですね。そんな中で、のびのびと、感受性豊かに育っていく子どもたち。大切なことはみんな周りの人たちや自然が教えてくれていたんだな、と思います。
海外で生まれ育った娘には、「じゅうばこ」や「むしろ」など、初めて聞く言葉もあり、私たち大人が読むのと違って、懐かしさよりも真新しさを感じたかもしれませんが、昔も今も変わらぬ子どもたちの元気な姿には、くすくす笑いながら共鳴していたようです。
囲炉裏端はなくなっても、リビングに家族が集う時間、大切にしたいですね。