主人公のリナは、冒険物語のヒロインタイプではありません。
少しぽっちゃりしていて、まじめで、恐らく、学校の勉強も運動も、ちょうど真ん中、平均点をとっていそうです。
そもそも、不思議な「霧の谷」を目指したのも、お父さんに勧められたから。
そんな身近なリナと一緒に、ゆっくり、ゆっくり、物語に引き込まれます。
おそらく宮城県のどこかに入り口がある「霧の谷」は(挿絵をご覧下さい)、とにかく素敵です。
出てくる物も、人も、奇想天外で盛りだくさん。
誰もが、自分も、他人も、さりげなく大切にしています。
ふわりと浮かんだような、どこにもなさそうだけれど、ありそうな、懐かしくて優しい町。
子ども達には、こんな町を心に持ち続けてもらいたいな、と思います。