この物語に登場する島は多分作者が作った架空の島だと思いますが、
私たち地上に住む人間は、このお話の大きな島の人々のように、自然を敬い愛する前に己の欲におぼれてはいないでしょうか?
邦訳はおおしまかおりさんで、この方はほとんどの「イエルク・シュタイナー」&「イエルク・ミュラー」コンビの絵本の邦訳をされています。なので、(原文は分かりませんが)かなり作者の想いを日本人が理解できるような訳をしてくださっていると、私は思っています。
ふたつの島に起こった出来事を淡々と描いているお話なので、ストーリーは長めです。
読み聞かせとかに使うには長すぎて持ち手が疲れてしまいますが、
ブックトークなどで紹介する分には、小学校高学年くらいのお子さんから十分理解できると思います。
ミュラーさんの絵は、雲の光があって輝いている感じ。波の動きや建物にのびる影。滑車などの骨組みの1つ1つまで、余すところなく大事に描いてくれているので、どのページも見ごたえがありゆっくり堪能できます。
絵画の好きな人、(本当の歴史ではありませんが)歴史や自然などに興味のある人にもお薦めです。