信貴山縁起絵巻の中の、山崎長者の巻を絵本にした作品。
絵は全て絵巻から構成されています。
山崎長者と呼ばれる長者は、貧乏な頃から熱心にお布施をしていたのですが、
だんだんと慢心からか、お布施をしなくなってしまったのです。
偉いお坊さん命蓮さんは托鉢の鉢を飛ばす術でお布施をもらっていたのですが、
その鉢を長者が倉にしまっての騒動。
お布施の大切さが伝わってくる、一種の説法風の物語です。
鉢や倉、米俵が飛ぶ奇想天外な光景、人々の表情などが生き生きと活写されていて
びっくりです。
まさしく絵が物語る「絵本」そのものだと感じました。
寮美千子さんが添えてくださった文章も見事です。
絵巻をじっくり味わってほしいです。