古代ギリシャのトロイヤ発掘で有名なハインリヒ・シュリーマンのエピソードが好きで、
たびたび出ていたホメロスの叙事詩『イーリアス』『オデュッセイア』が気になっていました。
今作品は長編である後者の抄訳・再構成したものとなっています。
木馬のエピソードで有名な、トロイヤ戦争後、
勝者オデュッセウスが故郷のイタケ島にたどり着くまでの10年ほどの
大冒険譚。
エーゲ海から地中海を舞台に、一つ目巨人、魔法使いの女神などを交えて、
さらには、留守番の王妃に降りかかる難題、息子の活躍など、複雑なストーリー。
影絵風の絵が、その世界を感じさせてくれます。
神々ならではの不思議な展開に、夫婦や親子愛も絡みます。
原典が難解だけに、大人でさえ読解するのには、この作品でもかなり難しいです。
でも、絵をながめるだけでも、その息遣いは十二分に感じられるので、
その世界観だけでも感じ取ってもらいたいと思います。