この本で取り上げられているのは4歳の時から、
家族の借金のかたに児童労働をさせられていたパキスタンの少年「イクバル・マシー」くんです。
世界はめまぐるしく動いていて、日々発展しています。
そうした世界の動きの中で、今でもまだ発展途上国の貧しい国々の子どもたちは(生活をするためにやむおえなくした)親の借金の肩代わりに厳しい労働条件で、本の幼い子どもたちがほぼ一日中労働をさせられていることを知りました。
そして、彼らのほとんどはその状況を「仕方ない」「当たり前のこと」もしくは、「働いて家族にお金を渡せるだけ幸せ」と考えているのです。
イクバルを救ったのは「BLLF(債務労働解放戦線)」でした。
パキスタン各地の救うべき労働者たちのためにいろいろな活動をしている組織です。イクバルはこの団体の集会を聞きに行き、その集会を行っていた主催者の(その後のイクバルの父のような存在になる)イーシャーン・ウラー・カーンに助けを求め、彼の働きで自由になることができました。
この本では、労働をさせられていたイクバルやそのほかの子どもたちの話を取り上げつつ、自由になった後のイクバルがカーンと一緒に回った講演の内容が載っていました。
まだ子どものイクバルが語っている内容なので、全体小学校高学年くらいの子ども達が読んでも十分理解できる内容で書かれています。
そして、残念なことにイクバルは1995年、銃弾に倒れました。
まだ13歳でした。
この本を読んでも日本の子どもたちにはピンとこないかもしれませんが、こういう不当な労働が平気で行われている地域が世界にはあるんだということを頭の片隅において大人になってくれるといいなと、思います。