Noritake、のりたけといえば、つい食器メーカーを思い出しますが、この絵本で絵を描いているのはもちろん食器メーカーでなく、イラストレーターのNoritakeさん。
どこかで見かけた絵柄だなと思って調べると、集英社文庫の40周年のキャラクターになった猫の「よまにゃ」がNoritakeさんの作品だとわかりました。
ほのぼの系の絵柄ですが、それがかえって戦争と平和を描いたこの絵本ではうまく生きているように思いました。
文を書いたのはたにかわしゅんたろうさん。もちろん詩人の谷川俊太郎さんです。
谷川さんの文もとてもシンプル。
シンプルな文にほのぼのな絵。
それでいて毒がきいていて、考えさせられる。
左右のページに、平和と戦争が対になって描かれています。
例えば、最初のページに「へいわのボク」、その横のページに「せんそうのボク」。
一人は胸を張っている男の子、一人はひざをかかえてしょげ返っている男の子。
そんな組み合わせが続きます。
思わず怖いと感じたのは「ぎょうれつ」の対、
「へいわのぎょうれつ」は保母さんと歩く小さな子どもたちの行列、「せんそうのぎょうれつ」は鉄砲を担いで行進する兵士たちの行列。
この絵本のすごいのは、こういうように平和と戦争を対比させてみせていくだけで終わるのではなく、味方といったり敵といったりしているけれど、実は同じ人間だということを教えてくれていること。
「みかたのあかちゃん」「てきのあかちゃん」と文はあるけれど、Noritakeさんの描く赤ちゃんはおなじなのです。