『星新一ショートショートセレクション1』(理論社)。
表題作である「ねらわれた星」をはじめとして、19篇の「ショートショート」が収められた、児童書。
装幀・挿絵(それぞれの作品にひとつ挿絵がついています)は、和田誠さん。
「ショートショート」というのは短編小説よりももっと短い物語で、この児童書の場合、活字も行間も大きいせいもあってだいたい10ページほど、しかも和田さんの挿絵が1ページ分あるから、あっという間に読めてしまう。
それでいて、オチが楽しめるのだから、なんとも楽しい読書体験といえる。
これなら、本嫌いの子供でも難なく読めてしまう。
この巻には、表題作のほか、星さんの代表作ともいえる「ボッコちゃん」も収められている。
この「ボッコちゃん」はバーのカウンターで男性のお客を接待する美人ロボットで、子供が読んでわかるだろうかと思わないでもないが、案外子供はこういう少しエッチ系のたぐいの話が好きなところがあるから、許せるのだろう。
星さんの作品にはやはり大人の読者を意識した内容も多い。
表題作の「ねらわれた星」にも、ちょっぴりそんなスパイスがされている。
きっと子供たちはベッドでクスクス笑いながら、読んでいるに違いない。
あるいは、早く大人になりたいなと思っているかもしれない。