この絵本の出版広告を見つけた時、正直驚きました。
漫画の神様・手塚治虫さんの代表作ともいえる『火の鳥』が絵本になったというのですから。
しかも、文と絵をかいたのは、鳥の巣研究家でもある絵本作家の鈴木まもるさんというのですから、
きっと鳥の表情とか上手くできているのでしょうね。
でも、手塚治虫さんの『火の鳥』の愛読者であれば、こう思うのではないでしょうか。
あの作品は過去から未来へとわたる大叙情詩でもあって、
そういったロマンがどう描かれているのかと。
鈴木まもるさんは1952年生まれで、中学生の時に手塚さんの『火の鳥』に出会ったといいます。
絵本『火の鳥』は、鈴木さんが手塚さんの漫画から受けた精神のような世界が描かれています。
つまり、手塚さんの『火の鳥』の物語からうんと離れています。
それでいて、手塚さんがあの作品で描きたかった核のようなもの、
それはきっと生命の大切さであり、人間があるべき姿を描いています。
手塚治虫さんの漫画『火の鳥』は、半世紀以上の時を経て、
絵本作家の鈴木まもるさんがこしらえた絵本『火の鳥』へとつながるのです。
そのこと自体が、手塚治虫さんが『火の鳥』に込めた思いといえます。
この絵本を読んだ子どもたちが、また新しい火の鳥を見つけることを願います。