こぐま社といえば、赤ちゃん向けの絵本が多い中で、
大人も子供以上に楽しめる絵本です。
配色は“長新太”さんらしい黄色と橙色に相まって、
青色が反発するように目に飛び込んでくるのが印象的です。
“いたずらこざる”が“ぞう”のおしりに落書きしたから、
次から次に動物たちがびっくりしていく様と対照的に、
向き合う落書きが無表情なのが笑えます。
おしりの度アップのページでは思わず噴出しちゃいました。
また、落書きされてるとはつゆ知らず、水に顔を映して見る
“ぞう”の仕草がいじらしくて、僕の一番好きなページです。
“さかな”が驚いて水から飛び上がっているところはマンガかとも思えるのですが、
決してチープな感じではなく“長さん”ならではの世界なんですよね。
(絵本界のピカソなんて言ったらそれこそ表現がチープでしょうか。)
ところで作家さんはたいがいフルネームで呼ばれることが多いと
思うのですが、“長新太”さんは“長さん”で通ってしまうところも、
やっぱり多くの人の心に溶け込んでいる証拠なんだなと思いました。