『千の風になって』
あの歌に救われた人は、きっと多いと思います。
歌を聴いて、人々はどのような物語を思浮かべるのでしょうか。
原詩は誰が書いたのかわからないけれど、いろいろなところで引用されたり、
語られたりしていることを知りました。
心の支えとして、自分の悲しみを乗り越えるために、とても意味深い詩だと思います。
詩を歌詞に書きなおした新井満さんが、自分の歌詞に寄せて創作したサイドストーリーですが、
とても素晴らしい作品です。
苦悩の果てに結ばれた幼なじみのウパシとレイラ。
赤ん坊を産んで具合を悪くした妻レイラは、自分の死を悟ります。
レイラが死んで、悲しみのあまり後を追おうとした、夫のウパシを思いとどまらせたのは、
レイラの残したあの詩でした。
本当に、風に中にレイラの心が生き続けているのだと、実感させられるお話です。
『千の風になって』は、歌詞をモチーフとしたり、テーマソングに使ったりして、
様々な物語が作られているのではないかと思います。
それだけ、心に響くテーマなのですが、アメリカインディアンの迫害の歴史と、
広大なアメリカ大陸を背景として描かれると、この詩の一語一語が活かされていると感じました。