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神の道化師 イタリアの民話より」 パパの声

神の道化師 イタリアの民話より 作・絵:トミー・デ・パオラ
訳:ゆあさ ふみえ
出版社:ほるぷ出版 ほるぷ出版の特集ページがあります!
税込価格:\2,200
発行日:1980年
ISBN:9784593501403
評価スコア 4.44
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  • 空の星だって役に立つ 

     「どんなものでも何かの役に立つんだ。たとえばこの小石だって役に立っている。空の星だってそうだ。君もそうなんだ」。
     これはフェリーニの名作「道」の中に出て来る有名なセリフです。
     少し頭の足りない主人公の娘ジェルソミーナと出会った芸人の男が言うのです。
     この芸人の男はこのあと彼女とコンビを組んでいたザンバノという荒くれ男に殺されてしまいます。
     このザンバノは怪力の芸をする流れ者。ジェルソミーナは彼のそばで伴奏などをして観客からお金を集める役どころです。

     昔は彼らのような旅芸人が多くいたのでしょう。
     この絵本の主人公ジョバンニもそんな芸人です。
     彼の芸は空中にさまざまなものを放り投げ、それをくるくる回したり、それを見事にキャッチしたりするもので、孤児だった彼はその芸で旅芸人の一座にはいり、次第に人気者になっていきます。
     やがては町のえらい人の前でも芸を見せるようにもなります。
     しかし、ジャバンニも年をとっていきます。
     そして、今までしたこともなかった失敗をしてしまいます。
     もう彼の芸を見ようとする人はいなくなり、彼はもとの貧しさに戻ってしまいます。
     そして、あるクリスマスイブの夜、ひっそりとした教会で、何のささげものも持たない彼は最後の芸をマリアとイエスの像の前で演じて死んでいくのです。

     古くから伝わってきた民話をもとに作者のパオラが自身の人生経験と重ね合わせて描いたというこの作品は、映画「道」で描かれたジェルソミーナの汚れない心の美しさと同じものを感じました。

    投稿日:2018/12/30

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  • 神聖な気持ちでクリスマスを

    クリスマスというとどうしても浮ついた気持ちになりますが、このような本もとても良いかとお薦めできる本です。
    両親をなくした浮浪児のジョバンニの特技はお手玉。
    いろいろなものを空高く上げてお手玉して見せては、ご褒美をもらって生活していました。
    町にきた旅芝居の一座に頼み込んで仲間に入れてもらったジョバンニは腕を磨き、一人立ちして大道芸人として活躍するのですが…。
    このお話は、ジョバンニの成功談ではなく、一生の物語でした。
    ジョバンニも歳をとり、とうとう自分の得意な演技を失敗するようになります。
    芸の出来ないジョバンニはもう人気者ではありません。
    落ちぶれたジョバンニは芸をあきらめ故郷のソレントに帰ることにします。
    そこで目にしたのは聖フランシスコ教会のクリスマスのミサ。
    人が去ってがらんとした教会で、ジョバンニは最後の演技をして息絶えます。
    イエスの像は微笑んでジョバンニの投げていた金色の玉を抱いています。
    崇高で尊厳のあるジョバンニの一生とクリスマス。

    話の中ほど、ジョバンニがまだ人気者でいた時、二人の修道士に食べ物を分け与える場面があります。
    芸で人々に幸せをあたえるなら、それは神さまをほめたたえているのと同じことだと伝えられます。
    さほど信心深くない私でも、人の生き方を見事に表現している部分だと感銘しました。

    しみじみとこの絵本を眺めながら過ごすクリスマスも良いのではないかと思いました。

    投稿日:2010/12/21

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  • クリスマスの前に

    タイトルに「イタリアの民話より」
    とあるように、古くからのイタリア民話が元になっているそうです。
    バーバラ・クーニーさんにも
    「ちいさな曲芸師 バーナビー」
    というタイトルで似た内容の本があります。
    元になっているのがフランス民話ということで
    色々違いもあります大筋は似ています。

    話し自体にキリスト教の色合いが強く、
    小さいお子さんには「?」の部分も多いかも知れません。
    実際、絵本をかなり読んでいる我が家の娘(4歳)でも
    1回読んだだけではエンディングの部分が理解しきれていない様でした。
    小学校高学年ぐらいになったらこの絵本の持つ奥深さが
    感じられるのではないでしょうか。
    クリスマスの前に読んであげれば、
    キリスト教信者でなくても、
    クリスマスを単なるバカ騒ぎのお祭りで終わらせずに、
    敬虔な気持ちでクリスマスを迎えられるかも知れません。

    投稿日:2007/03/07

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  • むずかしい

    • ジョバンニさん
    • 40代
    • パパ
    • 広島県
    • 男の子5歳、女の子2歳

    宗教色の強い内容ですが、トミー・デ・パオラが言いたかったのは何なのでしょう。
    主人公のジョバンニは道化師として登場しますが、ここでいう道化とは何を抽象化しているのでしょう。私は単なる職業ではなく、人間の実像、あるいは存在の証のことを言っているように感じました。
    道化をして生計を立てることは、生きるための手段でもありますが、何かを残すためにこの世に存在したとすれば、道化により人々に安らぎを与えることがジョバンニの役目、つまり実像だったのではないでしょうか。ジョバンニは、最後の最後にイエス様をほがらかにさせることにより、本来の役目を全うしたのではないのでしょうか。………考えすぎですかね?
    読み聞かせる方としては、自分は何のために生まれてきたのか?と問いただしてしまうような内容です。
    対象は6歳からとなっていますが、話も長いのでもう少し大きくなってからの方が私は良いと思います。ちなみにうちの子供(5歳と2歳)には全く受けませんでした。

    投稿日:2004/06/14

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