優しく描いてくださっていますが、
人間の勝手さ、残酷さを
知らされる絵本です。
美しい羽をむしるために殺され
田畑にまかれた農薬の毒で殺され
絶滅寸前になってしまったトキ。
そして、一羽のトキが、種の保存という名目で捕獲され
一生檻の中に閉じ込められました。
死ぬのも生きるのも、人間の都合に左右されたトキ。
このお話に描かれたキンちゃんは、
その後、36年間も空を飛べずに檻の中に閉じ込められました。
どんなにか、お外に戻りたかったでしょうか。
捕獲を依頼された宇治金太郎さんは、
信頼を寄せたトキのキンちゃんを裏切らなければいけなかった。
その苦悩も描かれています。
この絵本に涙するだけで終わらせず、
動物園、水族館、学校の飼育室に閉じ込められている動物たちや
サーカスなどに使われている動物たちのことを
もっと私たちは思いやらなければいけないのではないでしょうか?