毎晩、「夜が怖い」ため家じゅうの明かりを全部つけて、朝まで泣いている寂しがりで怖がりの小さなトロール、クニットがとうとう我慢できずに旅に出る。途中でいろいろな人に出会うが、だれとも交流することができない。海辺にでたら瓶に入った手紙が漂着して…
偶然の縁がひとりの人を大きく成長させる青春物語。
妖精の国の話(ムーミン谷周辺)だというのに、妙にリアルに感じられる登場人物たちの性格。主人公は病的な(本当に精神科に行ったら、何か病名がつくのかも?)寂しがりやで怖がりで、引きこもりのような感じがあり、対人恐怖症なのではないか?というくらい、不器用だ。極端な性格なのは、どうしてか?何か、過去にあったのだろうか?
…図々しい人や、個性を堂々と主張する人、みんなに嫌われている人などが物語に出てくるが、どれもこれも堂々と個性を全面的に打ち出して生きている。だれも遠慮しない。そんな中で、引っ込み思案なクニットは目立つ。でも、そのうち彼にもできることがあり、役割をみつけて、成長していく様子がほほえましい。
ムーミンの絵本は、特に説明がなくても、キャラクターが強烈なので、なんとなくその人物の普段の生活や性格が想像できてしまう。アニメで馴染みがある人なら、なおさら感情移入しやすいと思うが、こんなに個性のつよい人ばかりいるのに、割と平和なのは、彼らが大人の考え方ができ、他人とうまくやっていく方法をしっかり身に着けているからではないだろうか?
今度は、そんな処世術なんかを、是非とも教えて欲しい。