ティーポットに乗って旅をするなんて、いろんな花の種を集めてまわるなんて、なんだか不思議で啓示的なお話です。
きっと、自分の居場所さがしの旅だったのですね。
でも、たどりついた場所で、ローズはどうして大切なティーポットを置いたまま、街を歩き回って行くのでしょう。
その結果、集めた種のほとんどを失ってしまいました。
残った種をかき集めて、ローズは自分の見つけた場所に撒きました。
待って待って待って、それでも種は発芽しません。
自分だったら、もう一度新しい種を探してくるでしょう。
でも、この絵本では、待ち続けるローズの姿を見ていた町の人の心を動かしたと語ります。
しかも、本当の花ではなくて、紙で作った花を、一面に飾るほど、ローズに歩み寄ってきました。
どうして紙の花なのかについても、深い意味がありそうです。
そしてやっと咲いた本物の花。
本物の花は増え続け、ローズの庭が、みんなの居場所になっていきます。
単色の絵から、花によって次第に色彩を帯びてくるこの絵本は、さらりと読んでしまうと、あまり心には残らないかも知れません。
紅茶党のレイノルズが取り込んだ、ティーポットの船が象徴的です。
レイノルズは、ひとつの生き方を示して、この絵本を題材として提供しているのでしょうか。
とらえ方は、人それぞれですね。