「まつりちゃん」 なかなかよいと思う みんなの声

この本に書かれている、まつりちゃんのような境遇の子どもが本当にいたとしたら、今のご時勢だと、虐待やら、育児放棄やら、保護施設へやらと大変な騒ぎになるだろう。実際に、まつりちゃんのような境遇で、幼児が無事に生きていけるとも思えない。
でもである。悲惨さや、激しさや、暗さはまったくない、逆に、何ともいえない温かな、前向きな気持ちになる、不思議なお話。

５歳の女の子「まつりちゃん」に関わった人たちの話。
最初の男の子は虐待されていたと言っていいと思う子だったので、まつりちゃんももしや…と思いながら読みました。
いつもひとりな５歳の子…ちょっと聞き分けが良すぎてリアリティーがないファンタジーだなと思いました。まあそう読む話ではないのでしょうけど。うちの５歳の子どもとついつい比べてしまうとありえない。
問題があるときはガンガン専門家に頼ったほうがいいよ。選択肢の一つとしても。
書かれていないけど、最終的にはまつりちゃんは家族３人で幸せに暮らしていると信じています。

まつりちゃんがどんな子なのか、まつりちゃんと出会った人たちの思いを語りながら、断片的にまつりちゃんのことが解ってくる、謎解きのような物語です。
解ってくると、まつりちゃんの可哀想な境遇と、彼女の健気さに、たまらなくなりました。
ただ、作者は最後に離れ暮らす親を登場させて、かすかにまつりちゃんへの救いを加えました。
ホットして読了。