作者のユリ・シュルヴィッツ は、1935年ポーランド ワルシャワ生まれ。
1959年アメリカに渡り創作活動を始めます。
この作品は、1999年のコールデコット賞オナー賞受賞作品。
他に、1969年「空とぶ船と世界1のバカ」でコルデコット賞、1980年の「
たからもの」、2009年の「おとうさんのちず」で、コルデコット賞オナー賞を受賞しています。
初版は1998年で、邦訳は1998年の作品。
原題は、Snow。
物語は、
「そらは はいいろ
やねも はいいろ
まちじゅう どんより はいいろです」
という書き出しで始まります。
暗い町並みと、特徴のあり過ぎる大人たちが行き交います。
一片の雪が舞った時、男の子は、「雪が降っているよ」と言うのに対して、大人達は、無関心。
雪が降り出すと、子供だけが大喜びで、大人達は居なくなります。
代わって登場するのが、マザーグースの本屋の外壁から飛び出したマザーグースのキャラクター。
ハンプティ・ダンプティと老婆とガチョウが、子供の所に降り立ち、一緒に踊りだすのです。
そして、雪で覆われた町は、鮮やかな青空に映えて真っ白。
とても暗かった同じ町とは思えません。
何処の国でも、大人にとって雪は厄介物なのに対して、子供にとっては、楽しいもの、嬉しいもの、わくわくするものなのでしょう。
その雪が降る僅かな時間の出来事を、大人と子供の対照的な姿を通じて、象徴的に描いています。
とても静かな作品ですが、ゆきに対する子供の想いが伝わってくる、共感し易い作品だと思います。