情報とはある内容とかを知らせることだが、その方法は多種多様である。
通常使われるのは文字情報であろうが、写真や絵もよく使われる。
絵本を情報を伝える手段と言ってしまえば殺伐とするが、物語にしても昔話にしても大きくいえば情報であることにはちがいない。
もっともこの絵本のような場合だと、情報を伝える一冊といっても異論はないだろう。
しかも、この絵本に扱われるのはすごい情報量なのだ。
畑には栽培する野菜だけでなく鳥や獣、虫や蝶といった動物、草や花といった植物もたくさん存在する。ひとつの畝にどれだけのものがあるのかわからないが、おそらく途轍もない量だろう。
この絵本ではある畑を横断面で切り取って、一年12カ月の様子を描いている。
例えば、「8月」のページを開くと、まずこの月は夜の畑が描かれていて、近隣の町では祭の提灯がぶら下がっている。(できれば、夜空に花火を描いて欲しかった)
畑にはカボチャ、エダマエ、スイカ、サツマイモ、キュウリなどが大きく生育している。空ではフクロウやイエコウモリが飛び、地上にはイノシシまでがうろうろしている。
まだまだ書ききれない情報がわずか見開き2ページの中にたくさん埋め込まれている。
巻末に「付記」として「解説」がついている。
先ほどの「8月」には、「収かく時期が長いナス。新しい枝を出させるために枝を切り、秋ナスを育てる」なんて丁寧な解説が載っていたりする。
この絵本の情報量は半端ないが、それは裏返せば畑の情報量が多いということでもある。
畑は生きた図鑑そのものだ。