【あらすじ】
虫が大好きなお姫様。(日本の古典にでてくるようなお姫様)
お供の男の子達と共に、アリを観察していると、穴の中にありが出たり入ったりしている様子が見られた。姫は穴の中がどうなっているのかみたくてたまらない。穴を少し壊してみると、中から不思議な仙人が現れて…
アリの生態を、昔話のように紹介してくれるおもしろい一冊。
【感想】
アリの巣の観察、といえば、理系の、理科の教科書のイメージだったが、この本は古典文学の世界で表現している。科学番組ではなく、おとぎ草子。理系に苦手意識がある私にも、親しみやすい世界だ。
仙人に魔法をかけられて、アリの巣を探検してる様子はおとぎ話だが、説明している内容や、アリの生態などはしっかりと科学の世界。この方法は斬新で、印象的だった。
写真ではなく、ソフトなタッチの絵なので、昆虫が苦手な人でも見ていられると思う。昆虫の写真は、意外と迫力があって、ドアップで撮影しているものは怪獣のような感じがあって、怖いのだ。その辺の、虫が苦手な人の心もわかってくれているような気がした。工夫がいっぱいの一冊。
最後の見開きに、いろいろなアリの紹介があった。世界にはまだまだ知らない面白い生き物がたくさんいるなあ、と感心した。一番面白いのは、ミツツボアリ。ツボ役になったアリは、一生、ツボとして過ごすという。いいのか悪いのか、幸せなのかどうなのか。興味深い生き物である。