クマの住む森を抜けていく星野さんの足取り、目にしたものは切り取っていく写真、緊張感のある文章。
星野さんの息遣いが見えてくるような絵本です。
自分も同じ立場にいるような気になりました。
自分の後ろにくまがちかづいてくるようなうす寒さ。臨場感のある絵本です。
くじらにあったり、くまにあったり、大自然に包まれると詩人になるのでしょうか。
文章はレポートのようでありながら、詩情がとても豊かです。
ただ、この本にいくつかの問題があります。
星野さんのことを知らなければ、写真に写された大自然の断片はあくまで記録。
写真から感動を得ることは難しいかもしれません。
写真についても、それが作品であるような選択ではなく、配置の仕方も資料のようです。
この絵本のメインは星野さんのレポートなのです。
こんな冒険心を持ってほしいと思いながら、これだけの危険さを子どもに紹介するには大人としても躊躇するところでしょう。
ただ、これは少年少女の心を持った人でなければ感動できない絵本でもあるかと思います。
自分は安全な場所にいながら冒険を体験する。
それも良いことですが、見る人には星野さんになりきってこの本を体験してもらいたいと思います。