「海へいった赤んぼ大将」、「赤んぼ大将山へいく」の続編にあたるこの作品は、前二作から実に25年が経過していました。
作品の内容自体が25年後の話となっており、実際にこの本が発刊されたのもちょうど25年が経っていたというのは、とても不思議な因縁を感じます。
前二作が発刊されたのは、なんと私が生まれる前!
佐藤さとるさんの作品は、その面白さから年代の古さをほとんど感じさせないので、息子に三冊を読み聞かせてみましたが、25年も経っているという感じは全くしませんでした。
ちなみに息子が一番好きだったのは、二作目の「赤んぼ大将山へいく」でした。
三作目では、25年後という設定の為、タッチュンが実際に登場するまでにかなりのページを要しているので少し物足りなさは感じたものの、懐かしいタッチュンやモンザエモンと思わぬ形で出会えたのが嬉しかったです。
欲を言えば、まだまだタッチュンの冒険物語の続きが読みたいところですが、タイトルにあるように、これで終わりかと思うととても残念です。
挿絵も、村上勉さんの絵ではなく寂しい感じはしましたが、モモンガの可愛らしい描写や、愉快な時計たちの様子等、好感の持てるものでした。
このシリーズでは、時計という登場人物がタイムマシンのような働きをし、実に面白いSFファンタジーになっています。
子どもにでも理解できるようなSFの入り口として、佐藤さとるさんの見事な作品の一つだと思います。