子どもたちの読み聞かせに絵本を選書するとき、作品の質がよくても、あまり「戦争」を意識したものは普段選ばないようにしています。
(感の強いお子さんは朝から重たいに気分になってしまうので)
この作品は確かなものをきちんと伝えているにもかかわらず、重すぎたり痛ましすぎたりしないところが素晴らしいと思いました。
谷川俊太郎さんの詩の絵本「せんそうしない」から伝わってくる“平和な世界観”と近いものを感じました。
この作品の色合いは全体的に鮮やかに描かれていますが、
“戦争”的な部分のみ、やや抽象的に描かれた水や土、空気のようでした。
戦争はひどい味がする
いやなにおいがする
……
ひとくち
飲むごとに
みんなを
病気にしてしまうのが
戦争のしみこんだ
水なの
特に、このシーンのヘドロっぽい水が高波で襲ってくるところは印象的でした。よく見ると波の先端の飛沫の部分はドクロの顔に見えます。
この作品は、小学校高学年から中学生・高校生くらいの読み聞かせやおはなし会にうまく紹介したいなと思いました。