落語と絵本の関係を、この『ばけものつかい』という落語絵本を書いた川端誠さんは、
こう書いています。
「落語にはオチがあり、そこにいたるまでを面白おかしくしゃべるわけですが(中略)、
こんな噺を視覚的にやろうとしているのが絵本であって、ですから、絵本と落語はけっこう近く(以下略)」と。
ただ川端さんは落語をそのまま絵本にしているのではなく、
絵本ならでは工夫もされています。
ケチなご隠居が住みはじめた、化け物がでるという家に最初に出てきたのは一つ目小僧で、
ご隠居さんは怖がることもなく、一つ目小僧に家事を言いつけ酷使します。
次の夜に出てきたのは、ろくろっ首の女。
実際の落語では、顔の青白い幽霊みたいな女らしいですが、
ろくろっ首の女に変えることで絵に動きがでています。
ご隠居はこの女も酷使します。
最後は三つ目の大入道。落語の噺では、まだこのあとにのっぺら坊も出てくるようですが、
川端さんは三つ目の大入道でおしまいにしています。
実はこれらの化け物はみんなタヌキが化かしていたもので、
「化け物つかいの荒い人は初めて」と逃げ出すのが、噺のオチ。
絵本の最後のページの、なんだか頼りなさそうなタヌキの表情が笑いを誘います。
こんな絵本を読むと、実際の高座で噺を聞いてみたくなります。