女の子の肩にきつねがつかまっているというかわいらしい表紙なので、てっきりハッピーエンドかと思ったら、意外に悲しいお話なので、驚きました。
たみちゃんは、ちいさなきつねと友だちになりました。山道で独り言を言っているたみちゃんを見た大人はきつねにばかされているのではないかと噂します。
きつねがたみちゃんに栗を届けるのはまるで「ごんぎつね」みたいだと思いました。
きつねが人を化かすものという大人の思い込みや偏見を変えることは容易ではありません。たみちゃんがきつねと仲良くなることで、その糸口が見つかればと読みながら祈らずにはいられませんでした。
読み終わっての切ない結末。ハッピーエンドを期待したので肩透かしのような気がしたのですが、こういう結末の方が、偏見をなくそう、動物と仲良くしようという気持ちが、子どもの心に残るのかもしれないと思いました。
たみちゃんが大人になって子どもには優しいきつねさんもいるよと教えてあげるのではないかと思います。