4歳の息子と読んだのですが、少々長く、言葉遣いも、ストーリーも彼にはまだ難しかったようです。
竃猫という不思議な猫が登場しますが、
彼のせいではないことで他の猫と違うため、職場でいじめられています。
職場の猫は猫たちから尊敬される優秀な猫ばかりだというのに。
自分たちと違うという理由だけで、どんなに優秀でもいじめてしまう人間の不条理さと排他性を、描いたものなのでしょうか。
また、登場人物が「猫」として描かれていますが、
お弁当を拾おうとする猫の姿など、描かれる猫たちはどこかとても滑稽。
こんな猫たちの滑稽さを見せることで、
人間の不条理さや排他性を客観視させる、賢治の意図のように私には思えました。
最後の獅子や終わり方は…、
読み手に余白を残し、考えさせるような賢治の意図のように私は感じました。
やさしいけれど不思議な色合いの、描き込まれた絵です。
点で表現され、猫たちの身体などの質感が良く表れています。
事務所の俯瞰図や泣いているかま猫が見開きの真ん中に大きく描かれているシーンなど、構図は象徴的で大胆でおもしろい。
物語に忠実でありながら、構図や余白からは読み手に何かを感じさせたり考えさせる絵だと思いました。