身近な飲み物であるコーヒー。その豆を栽培しているインドネシアへ行き、現地で調査をした人が農業と環境、そこに暮らす人たちの生活などをわかりやすく紹介してくれる。
まず、コーヒーのあらまし、起源(伝説)、飲み方、珍しいコーヒー、インドネシアのコーヒーの飲み方などがかかれる。この部分はこの本の前菜にあたるもので、興味関心をもつ面白い話が満載。
コーヒーの魅力に取りつかれてから、本題の農園や環境、労働者の暮らしの話に入る。筆者は熱帯地方の人と森林との関りなどを調査している専門家であり、調査はかなり細かく丁寧に一人一人に聞き取りをしながら現地の人の生活の現状を調べている。現地に住んで直接人にきく方法なので、手間がかかり、人が相手なので、相手が気持ちよく調査に協力してもらえるようにいろいろな工夫をしている。
地道な努力を積みかさね、森林と人がうまく共存していく方法を探している。
コーヒーは値段も品質もピンからキリまであるが、どうして安いのか、高いのか。どういうコーヒーが良いのかという単純な質問の答えは、実にたくさんの方向からいろいろな回答が得られる。
労働者を搾取して安くコーヒー豆を買いたたき、高く売る業者もあれば、労働者とその農園・周辺の環境の事を考え、持続可能な方法を共に模索しながらコーヒー豆を適切な価格で買い取り、人と生き物たちの生活を守ろうとする業者や団体もある。
1杯のコーヒーを飲む時に、それらに思いを至らせ、自分ができることで地球環境やコーヒーに関わる人たちの生活を守れれば、毎日のコーヒータイムがより快適になるのではないだろうか。
小学校中学年から読めそうな本だが、年齢問わずどなたにも読んで頂きたい。とりわけ、食品業界に関わる人や、コーヒーが好きな人には是非とも読んで頂きたい一冊。
写真や絵も多く、わかりやすい文章で文字も大きいので、是非。