次第に緊張感の高まっていく絵本です。
「畑に入ってはだめですよ」とお願いしても、畑に入って来てしまったゴリラさんです。
それならば「畑に入っても良いけど、にんじんを取ったらだめですよ」とお願いしても、にんじんを取ってしまったゴリラさんです。
うさやまさんは、ゴリラさんが怖いから強く出られないのです。
ひたすら譲歩をくり返すうさやまさんの引腰に、口では強気でも行動に出ていけない誰かさんを思い浮かべてしまいました。
一方、ゴリラさんは、うさやまさんの家に入り込み、包丁まで握ってしまい、うさやまさんは最大の危険を感じてしまいます。
「命だけは助けて!」という、絶叫を思い描いた時、話は予想外の展開を見せて、結果ハッピー・エンドの絵本でした。
それならば、面白おかしくこの本を受け容れれば良いのでしょうか。
どんなに良い人であっても、人の願いを無視する行為を容認してはいけないと思うのです。
ゴリラさんの行為から信頼関係はうまれませんし、うさやまさんの並々ならぬ緊張感の高まりを、他人事のように楽天的にとらえていたら危機管理は出来ないのです。
たかが絵本だと侮ってはいけないものを感じてしまいました。