旅人が夜中に街の中で見つけた1軒のレストラン。従業員は人間ではなくライオンと羊。更に、メニューは真っ白だ。望みのメニューは何でも作れるというので、旅人は恐竜の卵の玉子焼きを注文するが…奇妙なレストランの由来も語られるシリーズ第1作目。
毎日小学生新聞で紹介されていた物語。謎めいた展開に引き込まれて、どんどん読み進むうちに物語の全容がハッキリしていく。これからの展開が楽しみな1冊だ。
ツッコミどころが満載で、深夜営業のレストランでライオンに出迎えられた場面が一番面白い。よく落ち着けたな。ここで逃げたら話が先に進まないから頑張ったのだろう。更に「恐竜の卵の玉子焼き」という無茶ぶりが笑える。もしかすると旅人は考古学者や恐竜の研究家などで、発掘の帰りだったのかもしれない。相手がライオンだけに、とんちを聞かせて無理難題を言ってそのすきに逃げ出す予定だったのだろうか?…読者の方も、いろいろ脇道にそれながらあれこれボケとツッコミを入れて楽しめる作品だ。
昔話の変身物語を下敷きに、ズルをした罰として「10000ポイント」ためないといけない上、深夜にしか営業できないレストランという非常に厳しい条件だ。毎日お客さんが来るとも限らず、365日、毎日1人来て合格ポイント1つためられたとしても、27年くらいかかる。(電卓で計算)お客さんも来たり来なかったり。要望に応えられない時もあるだろうし、口コミで一気に人気が爆発し行列ができるふしぎレストランになる可能性も秘めている。
さて、余計なお世話だが彼らが人間に戻ると、50代、60代か?その後どうするのだろう?赤ちゃん(小羊)はその間成長するのか?…などなど、いくつになっても愚かな私は、具体的なツッコミを入れつつ物語を楽しんでいる。天邪鬼や奇人の自覚がある人は、このように余計なことをして楽しめるのだ。
厳しい条件で長年頑張っても、人間に戻れるかどうかわからないし、人間に戻ってから果たして報われるのかどうかも分からない。
またそれらは別の物語だが、そんな将来のことまで楽しく読者が空想できるというのが、素晴らしいではないか。
私は勝手に読者参加型の物語だと思ってみた。
さて、自分だったら、どんな料理を注文してみようか…