先日、読み聞かせをしている人たちの勉強会で、『かちかちやま』のブックトークをしました。
その際、この本を私のスタンダード版として紹介しました。
この『かちかちやま』には、“ばば汁”は出てきません。
作者の松谷みよ子さんが、いろいろ悩んだ末に、そこまでは書かなかったそうです。それでも出版後も、葛藤はあったようで、あとがきに“ばば汁”を書かなかったことについてご意見をくださいとの記述がありました。
私にとっては、小さい頃からなじんだのがこの本なので、何の抵抗もなく、面白い話として受け入れました。
我が家の子どもたちにとっても、この本がスタンダード版です。
それ以前に、子どもたちにとっては、『かちかちやま』というお話自体が面白く、我が家では、昔話の中では、一番「読んで」と持ってくる回数の多い本です。
文章にリズムがあり、おじいさんが、
ひとつぶは せんつぶに なあれ・・・
と歌うところや、うさぎの
かややまのうさぎは かややまのうさぎ。
とうがらしやまのうさぎが なにしるべさ。
という飄々としたセリフがとても楽しく、スッとお話の世界に入ることが出来ます。
また、このうさぎのセリフを聞いて、大悪党のはずのたぬきがころっとだまされるのも、なんだか可笑しいところです。
瀬川康男さんの絵も迫力があり、特にたぬきの背負うかやに火がついて、ボウボウと燃え盛っているところなどは圧巻です。
10分弱で読むことが出来ますので、教室での読み聞かせにも十分に対応できると思います。