役所の事務所で働くかま猫は一緒に働く仲間達から嫌われている。
その理由はかまどでねるためすすけて汚いから。
皮膚が薄くてどうしても寒くて外では眠れないので、かまどに
入ってしまう。
性格は真面目でお人よし、何も嫌われ差別を受ける理由などないのに
今までかばってくれていた事務長までも回りの讒言に態度を変えて
しまう。
黒井健さんの筆による猫たちはふんわり柔らかに描き上げていて、
差別する側の猫たち見た目は意地悪そうには見えません。
ただ、かま猫の淋しそうな様子は見ていて辛くなります。
最後に突然に獅子が現れ、この差別を不当な物として、事務所の解散を
命じます。
まさに「鶴の一声」でありますが、一体この獅子は何者なのでしょう。
そして解散した後のかま猫はどうなったのでしょう。
「ぼくは半分獅子に同感です。」これは宮沢賢治のことばでしょう。
私は半分も賛成できません。他に手立てはなかったのでしょうか。
読後に なぜ?なぜ?なぜ? の余韻の残る一冊です。