時間がゆったりと流れていて、さくら村の人達が温かくて、包容力のある作品だなと思いました。
朽木祥さんの『引き出しの中の家』や『オン・ザ・ライン』などは読んだことがありました。
今回の作品は、人間関係に疲れてしまったり、自然の中でのんびり過ごしたいなと感じている時の、大人の心の再生にも大いに力になってくれました。
お話の頁の前にさくら村の地図が描いてあります。地図を時々見返しながら、さくら村で一緒に過ごしているような気持ちになってきます。この村ではどこのうちでも子どもが生まれたら、桜の苗木を一本、植える約束があるそうです。
小学校三年生のハナちゃん、五年生のお兄ちゃんタロウくん。ハナちゃんの同級生のサッちゃん、双子のヨリトモくんとキヨモリくん。サッちゃんの弟の一年生のケンちゃん達の春夏秋冬のさくら村での日々の出来事。
お話はいくつかあり、最初のお話は、タロウくんの自転車用の前かごに入れてあったヘルメットの中で、キセキレイの巣が作られたお話。たまごからヒナ。そして親鳥の後を追って青い空に飛び去るまでを見守る子ども達や先生。
犬と暮らすカワセミじいちゃんやホタルやトウモロコシ畑での事件。パン屋さんのパーティで村は大盛り上がり。そして最後のお話は、さくらがもう一本。
大社玲子さんの絵もやわらかく、生き生きとしていて、ワクワクしますよ。