自分の母親が、自分の名前を忘れていくことを、受け入れようとしている母親。
孫の視点から、認知症と老いるということをとらえた、とてもピュアな作品です。
直木賞作家であり、人の心理を饒舌に文章化していく桜木紫乃さんが、真逆の手法で家族のスタイルを絵本化しています。
文章の行間をそのままに、オザワミカさんの絵は、心の空間を膨らませています。
祖母が自分を忘れても悲しくないという母親には、祖母の死への心の準備があるようです。
人生の中で感じてきた、母親との葛藤にも折り合いをつけようとしているようです。
自分の娘に、祖母とのことを語りながら、「女の子」と「女の人」の違いを語る母親、自分の「女」を語る母親に、家族としての連帯を感じました。
さり気なく登場する父親もグッドジョブでした。
ここからは、自分の心で感じましょう。