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トミーが三歳になった日」 みんなの声

トミーが三歳になった日 作:ミース・バウハウス
絵:ベジュリフ・フリッタ
訳:横山 和子
出版社:ほるぷ出版 ほるぷ出版の特集ページがあります!
税込価格:\2,200
発行日:1982年10月
ISBN:9784593501748
評価スコア 4.6
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みんなの声 総数 4
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  • 絶望の中で見つめる子供への愛

    • たれ耳ウサギさん
    • 40代
    • ママ
    • 群馬県
    • 女の子18歳、女の子16歳、女の子14歳

    トミーはチェコスロバキアにあったユダヤ人強制収容所で両親と共に
    暮らす男の子。
    お父さんは絵描きさんでドイツ軍のための製図を書いていたため、
    他のユダヤ人家族よりは恵まれた生活だったようです。

    かわいい息子のため、軍に内緒で書き溜めた絵を壁の後ろに隠して
    置きました。

    トミーの三歳の誕生日。
    もしも戦争がなければ、こんな楽しみがある。もしも戦争がなければ、こんな美味しい物が食べられる。もしも戦争がなければ… もしも…

    お父さんの魂の叫びは、数十枚の絵となってはじけます。

    しかし、お父さんの絵が軍にばれて、彼はアウシュビッツに送られて
    そこで亡くなってしまいます。

    お父さんは言っていました。
    この絵がもし兵士にみつかったら…と想像するとすててしまおうか、
    もしてしまおうか…
    いやいや、壁の外の人達にここで起きたことをなんとしても知って
    もらわねばならないならないのだ。こんなことが、けっして二度と
    ふたたびおこらないように。

    隣人であり、後にトミーの養父となる人の証言やトミー自身の思い出
    も載っていますが、生き延びただけでは、幸せではなかった戦争の
    傷跡は大きかったようです。
    それでも、回りの人たちに支えられ四人の子の父となったトミーが
    今は幸せと言う締めくくりでホッとしました。

    命と引き換えたお父さんの絵が奇跡的にこの世に発表された
    のですから、世界は平和への道を突き進んで欲しいです。

    お父さんもお母さんも、そして児童書が読めるようになった多くの
    子供たちにも、是非読んで欲しい一冊です。

    投稿日:2009/09/23

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  • ユダヤ人収容所に暮らす家族がいた事、3歳の子どものために絵を描くことが犯罪だったこと、にわかには信じられないことが、皮肉にも今の東欧情勢が現実感をもたせて、私に突き刺さってきました。
    絵を描くことで、他のユダヤ人より優遇されたトミーの父親でしたが、家族のために絵を描くことは犯罪行為だったのです。
    子どもへの愛情を封じ込める事が生きる条件だったのです。
    こんな不条理なことが、やはり今も起こっているかと想像するといたたまれなくなります。
    子どものための絵が発覚して戦犯とされた両親は生きて帰ってきませんでした。
    生き残ったトミーの心に刻まれたものは何だったでしょう。
    事実を知らなければ、生き生きとして愛らしい絵です。
    語られる言葉は裏腹に針のむしろの上を歩いているようです。

    家族の素朴な愛を、踏みにじって当然のような顔をしている戦争も、それに加担する兵士も、私は嫌いです。
    2度と起こってほしくないことが、どうして繰り返されるのでしょうか。

    投稿日:2022/05/19

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  • 悔しさと悲しみと感謝

    • ちいニャさん
    • 30代
    • ママ
    • 栃木県
    • 女の子9歳、男の子4歳

     このお話しが強制収容所で実際にあった事だと頭ではわかっていても、読んでいくうちに、こんな事あり得ない!と否定してしまいたくなるほど、ひどく残酷なものでした。戦争を体験していない私でさえも、怒りや悲しみ、悔しさが込み上げて来て胸が苦しくなりました。そして、今、家族みんなで平和に暮らしていける事を心から感謝しました。
     前半は字数が多く、後半はイラストに少し言葉をつけてある程度です。イラストは我が子への愛情が感じられる物ばかりです。でも、私が今まで読んだ中では一番悲しい衝撃の強い本でした。
     子供に読み聞かせてはいませんが、子供が自分で読んでみようと思えるようになったら読んでみてほしいです。

    投稿日:2010/12/06

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  •  2004年、新聞広告を見て買いました。当時息子は6歳だったので、いつかこれを読む日が来るだろうと、本箱に入れておきました。
     
     昨年お話会で、“戦争”をテーマに、5・6年生を対象のものをさがしていたので、一足先に小学校で紹介しました。

     お手にとった事のある方は、厚いんじゃない?むずかしくない?と思われるでしょうが、写真や地図や人間関係図やら数枚のフリップを作り、リーフレットも生徒分印刷・配布してやってみました。

      内容は、実話です。父親が息子に残した絵が、終戦後奇跡的に取り出され、この絵と共にこの実話の証言をもとに、著者のミース・バウハウスさんが、まとめた一冊です。

    お父さんは、、製図用具を持っていたので、夜はもっぱらドイツ兵の目を盗み、収容所でのできごとなどの告発を絵に描いていました。

     トミーは収容所で三歳になりました。この、収容所では、おもちゃも果物もケーキも、何もありません。お父さんは、『これだけが現実じゃないんだ。』と、こっそり、トミーのためにも52枚の絵を描きました。そして隠しておきました。

      戦後、この絵が奇跡的に取り出されました。

     私が小学校で読んだのは、この本の著者が出てきた絵の中から52枚の絵を編集し、文を入れた『トミーとお父さんの旅』の部分です。
     苦いユーモアとウイットに富んだ、可愛らしい絵ばかりです。
     絵(芸術)の力は素晴らしいと思いました。

     生徒たちは、良く聞いてくれました。戦争により人生を変えられたり、戦争と武器を持たず戦っていた人がいたことがわかった。戦争は、してはいけない。等の感想がでました。

     表紙に描かれたトミーはバラックの窓からトランクを台にして、寒々とした収容所ばかりの世界を眺めている絵です。

     これを一冊に著したミース・バウハウスさんは、オランダアムステルダムの中心地、アンネ・フランクの家でも知られているプリンセンフラフトの運が沿いの家に住んでいるそうです。
     ぜひ、お父さんお母さんに読んで頂いて、そっとお子さんの本箱に入れておいてください。お子さんがきっと読む時が来ると思います。

     息子には「今年はぼくのクラスでトミーを読んでよ。」と予約を申し込まれました。

    投稿日:2009/06/15

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