雛飾りは3月3日の雛祭りが終われば、早くしまった方がいいといいます。
遅くなると、娘の婚期が遅くなると。
今でもそんなことをいうのかしらん。
ヨーロッパではクリスマスツリーは12月25日から12日めにしまうのが古くからの習慣だとか。
この絵本で初めて知りました。
東方の三博士が生まれたばかりのキリストに贈り物を贈ったのが12日めだといわれているからだそうです。
でも、12月25日から12日も経つと、お正月になっています。
もしかして、お年玉だったのでは。
それは冗談で、聖書には、乳香、没薬、黄金を贈り物として捧げたとあるそうです。
この絵本は昔の子供たちがその12日のことを歌った歌が題材になっています。
ブライアン・ワイルドスミスさんが詩と絵を書き、俳優の石坂浩二さんが翻訳をしています。
ブライアン・ワイルドスミスさんは日本でも人気のある、英国の絵本作家です。
静岡県伊東市に美術館もあるくらいです。
彼は色彩の魔術師と呼ばれるくらいで、この絵本でもそれはよくわかります。
赤、青、緑、黄、多彩な色がクリスマスが終わってからの12日を彩ってくれます。
こういう絵本を読むと、物語がどうとかいうことでなく、純粋に絵を楽しむことができます。
絵に興味のある子どもでしたら、自然とクレヨンを手にするような気がします。
ブライアンの色使いを見ていると、色彩は自由なんだと思います。
自由だけれど、やはりどこかにルールがある。
規定と自由。
そういうことすら、この絵本の絵は教えてくれます。
それと、詩。
最初には「いちわの うずらは なしの木に」とあります。
それが二日目には、「にわの きじばと なかよしさん/いちわの うずらは なしの木に」と繰り返されます。
三日目は「さんわの にわとり フランス国旗/にわの きじばと なかよしさん/いちわの うずらは なしの木に」と積み上がっていきます。
それが、12日まで続きます。
ですから、最後はとっても長い詩になっています。
それがちっとも長く感じない。
片づけることはさみしくもあります。
でも、こうして片づけながら、実は次の年のクリスマスのことを楽しみにしている。
そんな絵本なのです。