日本から5000kmも離れたマレーシア。
一羽のツバメが海を越える長い長い旅に出る―。
身近なツバメの渡りについて知ることのできる科学絵本であり、
ツバメの旅のドラマを描いた物語絵本でもある。
飛んでいくツバメたちのスピード感がありありと伝わってくる。
絵を眺めているだけでメッセージを感じ取れる良作。
著者の鈴木まもるさんは鳥の巣研究家でもあり、その専門性が如何なく発揮されている。
渡っていく途中で見える船や、街中の様子も細かく描かれており楽しめる。
上陸した場所が“日本”とは一言も書いていないのに、一目でそれとわかる風景と色づかいは圧巻。
しかし、文の方はちょっとイマイチ…。
ツバメの一人称で書かれており、やや感傷に過ぎるので読み聞かせには向かない。
もっと客観的な文がついておれば読み聞かせ絵本にも最適だったのだが…惜しい。
絵だけ見てもいいし、文もひらがなで簡単なので小学校低学年から自分で読める。