この絵本を見て、なぜか明治神宮外苑の再開発による森の伐採を連想してしまいました。
ビルが立ち並ぶ街の中で、小鳥や動物たちがいる森があるなんて、なんと素晴らしい事でしょう。
もちろんそこにはゾウやキリンや、動物園でしかお目にかかれない生きものはいません。
でも少年は、木々にゾウや様々な動物をイメージして大切に思い、むしろ敬愛する秘密の友だちだと思っているのです。
ある日その森は伐採されることになりました。
友だちを失いたくないという、少年の木々を守りたい一念が奇跡を起こしました。
木々が動物の形のままで歩き出したのです。
木々は安全な場所に収まりました。
でも、これはハッピーエンドではなくて問題提起です。
いきなり木が移り住んできたら、困ることもあるはずです。
これでは木々が去った後、やっぱり森はなくなり家が建つのです。
大人としてはそこまで考えないと、この絵本を読んだことにならないような気がしました。
自然はたやすく元には戻れません。