落語絵本といえば、絵本作家川端誠さんが数多く作品を出していて、
何冊か楽しく読ませてもらいました。
この『千両みかん』も「絵本で落語!」とあるように、
落語の噺を絵本にしたものです。
文を書いたのが、もとしたいづみさん。絵本と童話の作家です。
絵は長谷川義史さん。
「千両みかん」という噺が、もともと上方落語であったところから、
関西出身の長谷川さんが描くことになったのでしょうか。
表紙の青白い顔をした若旦那がうれしそうにみかんを食べている姿など、
ここでも長谷川さんの関西風の笑いにあふれています。
ところで、この若旦那がどうして青白い顔をしているかですが、
若旦那、みかんが食べたいばかりに寝込んでしまっているのです。
この大店の番頭が若旦那の病気がみかん欲しさだと聞きつけて、
ならばさっそくみかんを買ってきますと安請け合いをしたばかりに騒動が起きます。
昔はいつでもみかんが食べられるわけではなく、
夏にみかんはどこにもありません。
もし、みかんを探せなければ、安請け合いした番頭は罪に問われると脅され、
番頭は町じゅうを探し回ります。
そして、やっと見つけたみかん。
その店の旦那は訳を聞いて、ならばタダで結構というところ、
番頭はここでも安請け合いをして、値段をつけてほしいと頼むのです。
そこで、ついた値段が、みかん一個千両!
さてさて、この噺のオチはどうなるか。
この番頭のなんともいえないバカ面は、
そういえば関西のお笑い芸人に似ていなくもありません。
長谷川さん、どなたの顔を思い浮かべて描いたのでしょう。