感想のタイトルは、下の娘がこの絵本を読み聞かせた後に言った言葉です。
切ない物語でした。主人公の切なさが、9歳で読みとれたのでしょうか?あんまり感想を引き出そうとすると、かえって口をつぐんでしますので、本人には聞いていません。
イラストの黒井健さんは、知る人ぞ知る。「ごんぎつね」や「手ぶくろを買いに」など、新見南吉の作品のイラストも担当されていて、そのふんわりとした穏やかなタッチは、そのままそれらの絵本のイメージになっているくらいです。(と、私は感じます)
さて、このお話は、故郷の母に「手紙で近況を伝えてね」と、言われているにもかかわらず筆不精の、小さな町のみんなから信頼されている腕のいい、若い歯医者さん(説明が長くて、すみません)が主人公です。
だから最初に登場した時、「ポスト」はそんなに目立つ存在ではありませんでした。
ところがお話がだんだん進むにつれて、ポストと歯医者さんの距離が縮まっていきます。
この関係性が無理なく進行していくので、前半と後半ではちょっと違うイメージを持つ絵本の内容にもかかわらず、1つの絵本として、とてもスッキリまとまってみえました。
少々ページ数の多い絵本ですが、漢字にはふり仮名がふってあるし、とても読みやすい文体なので、出てくる漢字のレベルを考えると、小学校1年生くらいから1人読みできそうです。
でも出来たら、このお話は目で読むのではなく、読んで聞かせてあげて欲しいです。目でイラストを堪能し、耳でうっとりその世界のイメージを広げてほしい物語です。