「いまむかしえほん(4) したきりすずめ」 みんなの声

広松由希子さんの「いまむかしえほんシリーズ」は、いろいろな昔話が、それぞれ違った作家さんのイラストで楽しめるのがいいです。
したきりすずめは有名なお話で、いろんな作家さんの絵本を読みましたが、ささめやゆきさんがイラストを描くこちらの作品はちょっと変わっています。
おばあさんがとても人間らしくて、意地悪なのに憎めない感じがとてもいいです。

「まず、お米を食べて、
糊も食べて、
スズメもあまりいいことしていなかったよね。」
と５歳児が感想を思い出して言っていましたが、
私も今回読んで一番そこが印象に残りました。

正直、おばあさんがそこまでひどいのか、
良くないことをして反省することもなく、
ただ被害者ぶっている感じでこのスズメには
あまりいい印象を持てませんでした。

いままで、舌切り雀って
つづらの大きさのみが印象的でしたが、
今回、スズメを始め、
牛を洗った水を飲ませ
そこまでたいした情報を与えない嫌がらせをする人や、
そこまでスズメのためにするおじいさんなど、
おばあさん以上に異常なキャラに
違和感を覚えました。

昔話にはいろんなバリエーションがあって、知っているつもりでも不思議なお話がいっぱいです。
このお話、嘘つきでおお食らいの雀が悪いと言えば悪いのですが、いなくなった雀を探して馬方牛方の嫌がらせを平然とこなしてしまったおじいさん、そんなに悪いとは思えないおばあさんの受難と、変なところ満載です。
この展開で大判小判やおばけたちの入ったつづらを準備できる雀って何者なんでしょうか。

私も何となくしか覚えていなかったので、子供と一緒に読み返しました。
スズメは嘘をついたから、舌を切られたのですね！
その部分をすっかり忘れていたので、「舌を切られたのも、仕方なかったんだ」と、思いましたが、子供にとっては、舌を切るということが衝撃的だったようです。
「はっ」と口に手をあてて驚いていましたし、気持ちはおじいさんやスズメ寄りになっていたと思います。