冒険ものには案外疎い娘が手にした、最初のファンタジー本。手にした理由は「こわくなさそう」、もうひとつ「どうぶつの絵がいい」だった。確かに、三つ編みリボン姿のライオンで、冒険を想像するのはちょっと滑稽である。
主人公エルマー父さんを中心に、ネコ、クジラ、ネズミ、カメ、イノシシ、トラ、サイ、ライオン、ゴリラ、サル、ワニと登場する。そう動物園に行くかのように楽しげなのだ。加えて竜がなんともかわいい!英国の魔界の果てのイメージなど吹っ飛んでしまうほどのユーモアである。
娘は続ける「エルマーのね、リュックがかわいいんだよ。中身もさ、チューインガムにキャンデーにくしとヘアブラシでしょ、リボンになんでだかきれいなきれも入れてあるんだ。これで冒険って言える?」。う〜〜ん、確かにそうかも。「クリスマンの絵はこわくないし、どうぶつみんなきれい好きだし、森がまるでお庭みたいで、いいでしょ?」。ニューベリー賞イラストレータだろうが娘には歯が立たないようだ。
ご高齢のスタイルス女史にお詫びと感謝をせねば。娘も冒険ものを楽しく読むことができました。あなたのユーモアあふれる構想に、子どもらが勇気をもらえたように思います。天国のクリスマンにお伝えください「あなたの絵は、母の手のようにやわらかい」と。感謝。