グリム童話は残酷な内容を隠すことなく、伝えています。
この本も例外ではなく、悪いことをしたオオカミのお腹を切り裂き、石を詰め、最後は死んだオオカミを見て母子で「オオカミが死んだ!」と踊ります。
最初はこのお話の内容が怖かったです。
でも、どうしてそこまでオオカミに対して復讐をするのかを考えた時、とても納得がいきました。
この本にはお父さんヤギが出てきません。お母さんがたった一匹で七匹の子ヤギを育てています。
見ると、裏表紙に額にかざったお父さんの写真(?)が。
一説によると、このお父さんヤギも昔、オオカミに食べられて死んでしまったと言われています。
お父さんが死んでしまっても、お母さんは悲しんでなんかいられません。七匹も子供がいるんですから。この絵本のお母さんヤギはとてもたくましく描かれています。
お母さんは、本当は子供たちにお留守番なんてさせたくなかった。オオカミにいつ襲われるかわからないのですから。でも、自分が食料を調達しないと飢え死にしてしまう。仕方なく、子供たちに「オオカミに気をつけて」と言い聞かせ、出かけます。
帰ってくると・・・六匹の子供がオオカミに食べられてしまいました。
その時の母親の怒り。納得できます。
その後はご存知のとおり、寝ているオオカミのお腹を切り裂き子供たちを助け、石をつめて殺す。
死んだオオカミを見て子供たちが「死んだ!」と踊っているのは、自分たちの復讐というよりも、父親を殺されたその復讐なのでしょう。
他の「おおかみと七匹のこやぎ」を読んでいたら、ここまでのことは知りえなかったでしょう。
我が家の娘(3歳)も、「おおかみと七匹のこやぎ」を何冊か見せても必ずこの作品を持ってきます。
子供に「悪いことをした人間は死に値する」ということを教えることも大切な教育だと思っています。これからも、グリム童話は本物を読んでいきたいです。