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宮沢賢治の絵本 黄いろのトマト」 みんなの声

宮沢賢治の絵本 黄いろのトマト 作:宮沢 賢治
絵:降矢 なな
出版社:三起商行(ミキハウス) 三起商行(ミキハウス)の特集ページがあります!
税込価格:\1,650
発行日:2013年10月19日
ISBN:9784895881302
評価スコア 4.38
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みんなの声 総数 15
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  • 黄金のトマト

    博物館の剥製の蜂雀の話に、そっと耳を傾ける少年がいました。

    それは兄妹二人だけで仲良く楽しく暮らしていた、ペムペルとネリという子どもの話でした。

    二人が育てた赤いトマトの中に、一際輝く黄色いトマトがありました。
    ペムペルとネリはその美しいトマトを見て「これは黄金なんだ」と、心からそう思いました

    私は無知が不幸だとは思いません。
    でも、どうしてあんな風に言われたのか
    傷ついた理由もわからない
    それが悲しい
    二人の心は傷ついたまま、誰も教えてくれる人がいない
    それが不幸なのです
    蜂雀の声が二人に聞こえないならば、慰めてあげることもできない
    それが一番悲しいのです

    いい音の誘惑に胸躍る二人の目には、世の中は楽しくて輝かしいものに見えたのでしょう
    でもそれは二人の小さな世界にはない、冷たさや非情さも一緒に連れてやって来たのです

    少年に蜂雀が言った「ああいうかなしいことを、お前はきっと知らないよ。」という言葉が、頭から離れません。
    教育を受けた者にはわからない。
    二人はあまりにも、純粋だったのです

    …後半は可哀想で可哀想で、もう見ていられませんでした。
    幼い二人の心が壊れてしまったのではないかと思うと、胸が張り裂けそうです。

    剥製になってもなお、二人を忘れられないでいる蜂雀もまた悲しく、そんな蜂雀の苦しみは計り知れません

    でも蜂雀の声は二人には届かなくても、あの少年には届きました。
    あの少年だからこそ話をしたならば、番人のおじいさんがこっそり少年を室の中に入れてくれたのも、全てわかっていたからなのかもしれません。

    おじいさんも小さい頃に蜂雀の話を聞いたのか…
    おじいさんはもしかしたら、ペムペルなのか…

    読み終えた後も、ずっとそんな事を考えてしまいました。

    未完成のお話ということで矛盾な点などもありましたが、降矢さんの素晴らしい挿し絵に酔いしれながら、ゆっくりじっくり自分の中で解釈し想像しながら読み進めることができました。

    悲しくも美しいこのお話が、私はとても好きです
    できることなら、完成された作品も読んでみたい

    私にとって、とても大切な一冊になりました。

    投稿日:2014/06/17

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  • サーカスの代金 受賞レビュー

     絵を描かれたのは降矢さんなので、ワクワクしながら手に取りました。どのページの絵も、深い色あいで、奥行きが感じられました。
     仲の良い兄妹のお話。だいじに育てたトマトのなかに、黄色のトマトが実りました。黄金のようなトマトです。
     サーカスの代金を、このトマトで払おうとしたのですが、、、。
     
     サーカスの馬やゾウが通り過ぎる場面が、幻想的です。
     兄妹が、野菜を育てている表情が楽しそうで、ほほえましいなと思いました。けれど、サーカスの入り口で、黄色のトマトを投げつけられる場面は、むねがいたみます。

     文章はちょっと長めで、むずかしい言葉もすこしありますが、わかりやすいお話です。絵をたのしみながら、じっくり読みたい絵本です

    投稿日:2014/06/15

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  • 初めて読みました

    初めて読みました。とても切ない悲しい物語です。黄色いトマトをトマトではなく黄金だと思った兄弟。それを黄金だと思ってしまったことでかわいそうな運命が待っています。描かれたトマトもみずみずしく力強い。だからこそ黄金と思ったのか。。感動とは違い、自分の心を震わせるお話でした。

    投稿日:2014/06/19

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  • トマト

    初めて読むお話でした。
    一部分、途切れているのですが、それでも読みごたえがありました。
    そして、降矢ななさんの描くトマトが魅力的です。
    みずみずしく力強いトマトだということが、絵から伝わってきました。
    インタビューを読んでみると、実際にトマトを育てた経験から描かれたということで、納得しました。

    投稿日:2014/06/11

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  • 未完ゆえ、深い

    • レイラさん
    • 40代
    • ママ
    • 兵庫県
    • 男の子20歳、男の子17歳

    宮沢賢治の作品ということで読んでみました。
    実は途中原稿がなく、いつくかつじつまの合わない箇所もある作品です。
    それでも、出版したくなる魅力を備えている作品だと思いました。
    博物館員キュステが子どもの頃、蜂雀(ハチドリ)の剥製から聞いたストーリー。
    キュステ少年が、動くはずのない蜂雀から、「かあいそうだ」と、
    焦らされに焦らされて聞き出したストーリーということで、
    ぐいぐいと物語に惹きつけられてしまいます。
    ペムペルとネルという兄妹のお話です。
    二人で慎ましく暮らしていたのですが、ある日、トマト畑で黄色い実を見つけるのです。
    まるで黄金のように大切に眺めていたのに、それが後半、悲しい展開になります。
    幻想的な音に誘われて見つけたサーカスと、そこでの出来事。
    宮沢賢治の童話らしい、言葉の運びの美しさを感じます。
    降矢さんも、そのイメージに沿って寄り添った絵を添えて下さり、
    嬉しかったです。
    小学生以上くらいからでしょうか。
    大人もじっくり味わってほしいです。

    投稿日:2013/12/03

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