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はじめてのクリスマス

はじめてのクリスマス(偕成社)

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ひとつのねがい」 みんなの声

ひとつのねがい 作:はまだひろすけ
絵:しまだ・しほ
出版社:理論社 理論社の特集ページがあります!
税込価格:\1,430
発行日:2013年11月19日
ISBN:9784652200261
評価スコア 4.7
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みんなの声 総数 22
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22件見つかりました

  • ねがいは孤独、ねがいは勇気

    プロフィールには書いていないけれど、ぼくには前妻との間に別れた娘がいる。
    その時娘は4才だった。

    去年の春、実家の母親からその娘がこの春から大学に通うことになったと聞かされていた。わざわざぼくの実家に前妻と共にあいさつに来たらしい。大学近くの部屋を探しに来たついでだとのことだった。

    その年の夏、ぼくの携帯に見知らぬ番号から着信があった。娘からだった。
    電話口で自分の名前を名乗ったあと、彼女はこう切り出してきた。

    「妹がいるって聞いた。妹に会いたい。」

    さぞかし勇気がいったであろうその重い言葉に、ひとりっ子の母子家庭で育った彼女の孤独を垣間見た思いがした。ぼくのことは恨んじゃいないし、そもそもあまり記憶がないという彼女の、たったひとつのぼくに対する願いが、妹に会わせてほしいということだった。

    「ひとつのねがい」この絵本はねがいを持つことの尊さや、それゆえにかかえこむ孤独。その孤独を支え超えていける勇気を持たせてくれるのもまた、ねがい(夢と言ってしまおう)の本質だと考えさせられました。
    作者のはまだ ひろすけさんは一本の老朽化したがい灯に老いと絶望。その先の安寧。老いたがゆえにじつはぎらつく野望。そうか、本当は中身はぎらぎらしてたんだね。日々の営みの中で、誰からもかえりみられずひっそりと暗い夜道を照らして人生をまっとうすることのしあわせを投影したのでしょうか。

    また、特筆すべきは、しまだ・しほさんの線と色使いです。絶望に叩き込まれる暗転の黒。それまでがやさしくてあたたかなタッチだっただけに、あの黒はだれもがビクッてなるでしょう。そしてそこから夢がかなったときの歓喜の黄色の爆発。無垢な少年の輝く笑顔と唯一がい灯の存在を認める父親の暖かく丸い
    背中の線。天に召されたがい灯のしあわせの黄色。白く優雅な蛾。普遍的なテーマのお話に、しまださんの絵が乗ったことで、古臭く説教っぽくなく、かといって子供じみた擬人化もせず、ノスタルジーはそのままという、ある意味決して子供向けではない、全人的境地の作品にしたのだと思います。
    ぜひ多くの人にこの作品が響くことを願います。

    去年の大晦日、現在の妻の協力のおかげで実家において、娘たちを(全部で三姉妹)会わせてあげることができました。妻の寛容さと母親の偉大さに感謝しきりです。

    投稿日:2017/11/28

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  • 「ひとつのねがい」は地味な「がい灯」のおはなしです。地味すぎて素通りされてしまいそうな…。「がい灯」は自分の生き方を決めています。かなうとかなわないとにかかわらず「これが自分の生き方だ。自分の仕事だ。」
    自分探しに迷う人たちに、生きるとは覚悟を決めること。幸せの輝きとはこういうこと。身を持ってみせてくれているようです。

    童話は未来の世界を創る子どもたちに心のバトンを渡します。
    ひろすけ童話は心の中の星のような輝きをテーマに書き綴られていると私は思っています。異形のものというだけで差別したり怖がったり受け入れないなど不毛なこと、子ども達には未来の日本(世界?)を大きな心で築いて欲しいと願いがこめられているようにおもうのです。

    その美しい小さなおはなしを、しまだしほさんの美しい絵が何倍にも魅力的にしてくれています。まず 表紙のひとつのねがい のタイトル。優しいベージュの地に浮かぶ柔らかな蜜柑色の灯りに飛ぶ白い光の線が描く文字 こがね虫の薄い羽根 白い蛾の羽のなめらかなライン。心の綺麗なお父さんと天をも見通す眼差しの子ども。ガス灯の心の輝き。
    自分の心の奥から、〜ありがとう〜 の気持ちが温かく湧いてきました。

    投稿日:2017/11/28

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  • 研修会

    • かずせさん
    • 70代以上
    • じいじ・ばあば
    • 京都府

     サラリーマンになって、退職するまでの長い間に
    多くの人が経験することは、初級管理者を経て、中間管理職
    上級管理職、そして、一部の人は経営者となっていくものです。
    それらの過程で「一本の街灯」のような願いを持った時があったのではないかと思います。
     その願いにどう向かい合い、行動していくか
    人によってさまざまな答えが導かれるものです。
    そういう意味で、管理者研修会などで、堅い?本ばかりでなく
    このような絵本を読ませて感想をもとめるのに最適な絵本と思います。

    投稿日:2017/11/27

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  • 外灯の願いは私の願い?

    浜田廣介のこの作品は初めて読みました。文章は、もちろん素晴らしいのですが、しまだしほさんの絵にも大変感動しました。外灯が白い蛾にさえも相手にされずに落ち込んだ時の真っ暗なページ・・・ドキンとしました。その他のページも色使いと状況や気持ちの表現がとてもぴったりします。絵本を読みながら、色彩についてこれほどリンクして考えたことはありませんでした。
     ちょうど現在の私の心境がこの主人公の外灯と重なります。何のとりえもない中で、一生懸命生きて来ましたが、一体自分の使命とはなんなんだろうと自問自答する日々が続いています。誰かの役に立つことと、自分の願いがぴったり重なったらさぞ幸福でしょう・・!
     外灯にとって役目を全うすること。それは人間にとっては死を迎えることと同じように思われます。そういう意味でもこの作品は年齢制限のない、普遍的なテーマを扱っていると思います。子どものための絵本・大人のための絵本・とこだわる方もいらっしゃいますが、大人も昔は子ども・・大人になっても純粋な気持ちを持ち続けるためにも絵本という文化財を大切にしたいと考えます。
     最近たくさんの絵本が出版されていますが、深く感動する作品が少なくなってきたように思います。まさに絵と文章で紡ぐ絵本の世界にぴったりの作品でした。

    投稿日:2017/11/19

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  • こんな存在なら本望

    作者名につられ、ふと手にとった。挿絵の明暗の中で、闇の扱いが気になった。雪のように降り注ぐ星々のきらめき。遠くからはぼんやり、近くをこうこうと照らす街灯。小さな子には暗さはどうかなあ、と一瞬と惑う。立って読みつつ、これは「じじ・ばば」の心の願いではと直感。あと数か月で仙台の小学校に移る年長の孫娘と、その妹にも読ませたい。手渡し、三度読み聞かせた。いつか街灯のこと思い出してくれるかなあ。

    投稿日:2017/11/17

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  • あなたの光に気づける心

     やっぱり私もがい灯です。星のように光ることを夢みながら、うすぼんやりとともっている、中年のがい灯です。
     けれど私も若かった日に、こがねむしやがのように誰かを心ない言葉で傷つけたことはなかったかしら…。チクンと痛む心に、自分のありようを悔いながらも、じっと立っているほかありません。
     傷つきながらも静かに立つ、そんなひとつのがい灯に気づいてくれた、少年の優しい心に、私も救われた思いがいたしました。
     がい灯の感激が、私の心をあたたかく励まします。
     たとえどんな自分であろうとも、私は私の役目を果たそうと、顔を上げる心意気が、私の小さな灯を支えるのですね。
     大事なことを、そっと教えてくれたお話です。ありがとうございました。

    投稿日:2017/11/14

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  • 息子の心の灯火となってほしい絵本

    • KKのママさん
    • 30代
    • ママ
    • 大阪府
    • 男の子7歳、男の子3歳

    電灯さんの経る時間は人の一生のようで哀しい静けさがページをめくるたびに深まっていくようだった。
    電灯さんのたった一つの願い事。
    それは誰しも心の中に必ずある思い。
    人の一生の中で輝く時間は夢を持ちその夢が叶う時だけとは限らない。普段の日常の中で輝くかけがえのない時間がある。自分にしかできないこと。
    少年に遠くの星よりも近くの自分(電灯)の方が輝いていると言われ願いが叶った。
    「ママ、いつもおいしいごはんありがとう」と息子に言われる時の嬉しさに似ていると思った。
    7才の息子に本を読む前に「K君の願い事を一つ言うとしたら何かな?」と聞いてみた。「今ほしいおもちゃを誕生日にもらうこと」という答えが返ってきた。息子がこれから成長したくさんの壁にぶつかり乗り越えていかなくてはいけなくなる中でお金では買えないものの大切さに気付き、電灯さんのような思いを抱いたときに、少しでも思い出し心の灯火となればと祈る気持ちをこめて丁寧に読んだ。読み終わって「電灯さんよかったね」という息子の笑顔が嬉しかった。

    投稿日:2017/11/09

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  • 深く心にしみるお話

     「そのようなねがいが、ひとつあるばっかりに、がい灯は、すこしつよい風が ふいても、ぐらつくこしを ぐっと ささえて 力んでいました。」
     がい灯の生きる力の源となっていた願い、それは私たち人間が、時代や社会を超えて共通に持っている願いであると思います。
     がい灯の強い願いがかなった時の光輝く姿が、温かくやわらかな挿絵とともに私たちの心をうちます。
     「絵本の持つ力」が、時代や読み手の年代を超えて伝わってきます。絵本の原点ともいえるこの作品、原作にマッチした挿絵も楽しめます。たくさんの人に読んでもらいたいと思います。

    投稿日:2017/10/22

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  • 上品

    昔、書かれた物語・・ってなんで品があるのだろう?
    って、よく思います。この本もそう感じました。
    大正8年に書かれた童話だそうです。
    がいとうには「星みたい」と言ってもらいたいという
    ひとつのねがいがあります。
    現代を生きる私としては、ランプの薄暗い灯の方が素敵
    だけどなあ、とつい思ってしまいましたが。
    しまだしほさんの挿絵がついて2013年にこうして
    絵本になりましたが、絵の雰囲気がぴったりです。

    投稿日:2017/04/07

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  • がい灯が主人公

    • みちんさんさん
    • 30代
    • ママ
    • 愛知県
    • 女の子3歳、女の子1歳

    はまだひろすけさんの作品に興味を持って読んでみました。
    がい灯が主人公のお話しだなんて初めて読みました。
    がい灯のたったひとつの願いは「星のようになりたい」という願い。
    なんだかちょっと切なく感じました。
    がい灯にだってたしかに寿命ってありますよね…。

    投稿日:2015/01/22

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