この絵本は題名に「五七五」とありますが、「俳句」の絵本ではありません。
「リズム」の本です。
「俳句」では「五七五」が基本です。短歌はもう少し長くて、「五七五七七」。
これも、「リズム」です。
どうも、日本人にはこの「五七五」や「五七五七七」という「リズム」があっているようです。
暮らしのさまざまな場面で使われています。
さらにこの絵本では「だじゃれ」の言葉遊びや季節感といったものを描かれています。
最初に出てくるのは、「たかげたで/げたげたげたと/タカわらい」という言葉。
絵は、初夢のシンボル、富士山と鷹(もちろん、この鷹は高下駄をはいています)が描かれています。
内田麟太郎さんのひねった言葉(きっと内田さんは、首もひねったと思います)も面白いですが、喜湯本のづみさんの 絵もユニークで楽しめます。
私が一番笑ったのは、「はるさめや/サメさめざめと/まちぼうけ」についている絵。
大きな柳の下で、薔薇の花束をもった鮫が黒い傘をさして涙を流しているところ。これが、実に、鮫なのです。
もしかしたら、言葉遊び以上に、その言葉に合わせた絵を描くセンスも学べるかもしれません。
こういう言葉で遊ぶことから、「リズム」に親しむというのは大事なことです。
子どもたちもスマホでメールをする時代。絵文字ばかりではつまらない。自分の言葉で何を伝えるかです。
コミュニケーションの時代と言われながら、それをよくする方策がなかなか見つけられないのが現実。
子どもだけではなく、大人も「五七五」を使った言葉遊びが必要です。
指を折りながら、口で中でぶつぶつ言っている親子を見かけたら、変な親子だと思わずに、ははん、あの絵本を読んだんだなぁ、言葉の「リズム」を楽しんでいるのだなぁと、やさしく見守ってあげて下さい。