私の故郷はかなりの田舎にあり、通った学校の近くには必ず小さな川が流れていました。ひょいっと軽くジャンプすれば簡単に渡れてしまうそれらの川は放課後の秘密の隠れ場でもあり、ザリガニや魚を見つけてはしゃいだり、ナイショ話をしたり…そんなごく日常にある風景でした。
主人公の女の子が小川を飛び越えらるか…ただそれだけのお話ですが、今の時代それがいかにぜいたくな事なのか、なんだかしみじみしちゃいました。女の子を見守るキリギリス、フナ、トノサマガエル…昔はまわりに当たり前にいたはずなのに。遊んだあとに寝転がったまま、ただ流れる川の音を聞くなんて、なんて優雅な時間の過ごし方なんだろう。絵本の世界に入りたいって大人ながら本気で思えた1冊です。
ただ正直なところ4歳の息子は、スズキコージさんの独特なタッチの絵になかなか馴染めなかったようでした。異国情緒を通り越して地球ではないどこかの星の風景にも感じてしまう彼の画風は私自身は大好きなので、いつか私の故郷で同じ体験を味わってもらってからまた読んであげるつもりです。