ジャック・タチが映画監督であり俳優であったこと、この絵本の物語は彼が脚本・監督・俳優をこなし、いくつかの賞をとった映画『のんき大将脱線の巻』を原型にしている事を知って、納得しました。
ストーリーはとてもコミカルなドタバタ喜劇で、展開がとてもスピーディーなのですが、作者の意欲に絵の表現が追い付いていないのです。
舞台はフランスの片田舎。自転車で郵便配達をするフランソワがアメリカ映画で紹介されたアメリカ流郵便配達(かなり揶揄的ですが)に刺激されて、のんびり配達からスピード配達を頑張り始めると、次々と騒動を起こしていきます。
話としてはとても面白く、映画を見てみたくなりましたが、静止画像である絵が説明的になってしまいました。
絵本としてはいまいちですが、アメリカの合理主義をシニカルに批評して見せたドタバタ。
訳者の苦労がさらに加わっていて面白い作品です。