私自身、小学校2年生の時、先生が読んでくれてとても印象に残っていたので、後年、成人して買い求めました。
夏の寝苦しい夜、青白い光の中、山に登っていくふきちゃん。上から見た目線で描かれたパノラマっぽい絵。
ふきたちの中に座り込んで、夜露を頭にのせたふきちゃん。
ふきのすべりだいをすべるふきちゃんはやや低い位置からの目線で描かれています。
いろとりどりに染まった葉っぱ。冬枯れの畑。春、そわそわと山を見上げるふきちゃん。
どのページどの絵も力強く、子どもの心にすーっと入ってきました。
ラストの絵もこわいとか気味悪いというより、何か言葉に出来ないメッセージのようなものを感じました。
年月を経て今、2歳の娘が本棚にこの本を見つけて、「これ読む〜」と。
「まんぶくってなに?わたし知らないよ」などとたずねてくる小さなこの子にはまだ難しいのでは、と思いながらも読んでやると、意外にも絵に見入りながら、私のよむ言葉にしっかり聴き入っていました。
「このほん おもしろい…」
幼いなりに何か感じとってくれたようです。
夢のような物語と、生命力にあふれた絵で語られるこの作品は、これから、もっと大きくなっても、何度も何度もくりかえし、手に取る1冊になると思います。