店頭で見つけて(少し表紙が汚れていましたが)運命を感じて
買ってきた絵本です。
岡田淳さんの絵本は珍しく、童話を多く手がけているというのは、
この絵本をきっかけに知りました。
絵は淡いパステル調の配色にサインペンの線で描かれて、とても
シンプルな印象を受けます。
岡田淳さんはあとがきで、このお話しのできたきっかけをこう
語っています。
スケッチブックを黄色く塗って、その上に赤色のかたまりと
緑色をにじませたものを塗って、それを睨んでいるうちにできて
きたと。
やはり画家というよりもお話し作家なんですね。
そんな小さなところから、こんな大きなネコのお話しに拡がった、
そのきっかけの意外性に驚きます。
それに、ぼくがクラリネットを吹くと、その音色をエサに大きくなる
ネコという設定や、ネコのげっぷの音が「♪.」というのも素敵です。
なかがわちひろさんの“天使のかいかた”という童話では、
ペットの天使は飼い主のお話しを栄養にして元気になる、
という物語だったのを思い出しましたが、
どちらもその発想に感心してしまいます。
それから何といっても、大きくなったネコのおなかを枕にして寝る
なんて、ネコ好きの僕としては堪らないですね。
最後の言葉にあるように、“よのなかで いちばんすてきなのは
ネコといっしょに くらすことです”の通り、読んだ後は無性に
ネコに触れたくなります。
主人公と同じように、ふわふわ空に浮いたような気分になれて、
寝る前の読み聞かせにはぴったりの絵本です。