得田之久さんの作品は、2010年6月に新版として5冊発刊された「こんちゅうの一生」シリーズが最初の出会いでした。
1970年頃に出版した昆虫絵本の新版なのですが、その精緻な絵と2〜3年観察を続けてから、何とか1冊の本に纏めたという逸話に感銘したものです。
その得田さんの2003年6月の作品で、「あおむしチリリのおさんぽ」と同時発刊となっています。
両作品の共通点は、かまきりが登場すること。
「あおむしチリリのおさんぽ」でのかまきりは、チリリを捕まえようとする役柄ですが、この作品では、生まれたばかりのかまきりという設定です。
キリリと名付けられたかまきりの子は、悪戯好きで、やんちゃこの上ない行動ばかり。
アリに追いかけられて、絶対絶命となるのですが、仲間がやって来て事無きを得るのです。
我が身を振り返る子供もいるのでは?と思えるような良くある光景ではないでしょうか。
ここでも、穴のあいた仕掛けがあって、一箇所だけなのですが、良い仕事をしていると思います。
デフォルメの効いた絵は、親しみ易いもので、しかも、昆虫の生態を正確に描いており、昆虫好きならずともオススメしたい作品です。